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妊娠力の教科書

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妊娠力の教科書

CHAPTER 06

第6章 > 001

心の話を、最後にした理由

心の話を、最後にした理由

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OVERVIEW

この節の目的

この教科書で最後に扱うのが、Manas(マナス)——心です。

心がそれほど大切なら、なぜ最初ではなく最後なのでしょうか。

その理由は、アーユルヴェーダが「心だけを直接整える」のではなく、まず身体から整えていくことを大切にしているからです。

この節では、サットヴァ・ラジャス・タマスという心の3つの状態を知りながら、ここまで続けてきた身体づくりと心が、どうつながっていたのかを整理します。

01

なぜ、心の話を
最後にしたのか

この教科書では、 あなたの状態を 6つの視点から見てきました。

そして最後に残ったのが、 Manas(マナス)——心です。

第1章では、 心を

「土台の、そのまた土台」

とお伝えしました。

それほど大切なのに、 なぜ最後まで 取っておいたのでしょうか。

理由の一つは、 とてもシンプルです。

「焦らないで」と言われても、焦りは止まらない

不安なときに、 「不安にならないで」

焦っているときに、 「焦らないで」

と言われても、 心はスイッチのようには 切り替わりません。

むしろ、

「穏やかになれない私はダメ」

と、 さらに自分を責めてしまうこともあります。

もう一つの理由が、 アーユルヴェーダの考え方です。

心の問題に、 心だけから入らない。

まず身体を整える。

食べる。

出す。

巡らせる。

眠る。

生活のリズムをつくる。

ここまで12週間かけて やってきたことは、

実はすべて、 心への手当てでもあったのです。

02

心には、
3つの状態がある

アーユルヴェーダでは、 心の性質を 大きく3つに分けて考えます。

サットヴァ・ラジャス・タマス です。

Sattva|サットヴァ

純粋さ。

調和。

平和。

明るさ。

心がクリアで、 落ち着いている状態です。

物事を冷静に見られ、 人にも自分にも 穏やかに接しやすい状態です。

Rajas|ラジャス

動き。

活動。

情熱。

刺激。

行動するためには 必要な力です。

ただし過剰になると、

焦る。
イライラする。
頭が止まらない。
予定を詰め込みすぎる。

といった方向へ 傾きやすくなります。

Tamas|タマス

重さ。

静止。

惰性。

休むためには 必要な性質です。

ただし過剰になると、

動きたくない。
何もする気になれない。
「明日から」が続く。

といった方向へ 傾きやすくなります。

ここで大切なのは、 ラジャスもタマスも 「悪」ではない ということです。

動くためには ラジャスが必要です。

眠り、 休むためには タマスも必要です。

問題なのは、どれかに傾くことではなく、
傾いたまま戻れなくなること。

アーユルヴェーダでは、 サットヴァは 新しくつくり出すというより、

ラジャスやタマスが強くなることで 覆い隠される と考えます。

だから、 良いものを無理に足す前に、 覆っているものを減らしていく。

第2章の 「まず出す」と、 どこか似ていますね。

03

あなたは、
どちらに傾きやすい?

ここで、 「体質」と「心の状態」を 分けて考えておきましょう。

ヴァータ・ピッタ・カパは、 あなたの持つ 基本的な体質を見るための考え方です。

一方、 サットヴァ・ラジャス・タマスは、 そのときの心の状態です。

朝と夜でも違います。

今日と明日でも変わります。

体質によって、傾きやすい方向がある

ヴァータ|風
考えが止まらない。
不安が膨らむ。
気持ちがあちこちへ動く。

アーユルヴェーダでは、 ラジャスの方向へ 傾きやすいと考えます。

ピッタ|火
焦る。
イライラする。
完璧を求め、自分や人に厳しくなる。

こちらも、 ラジャスが強く現れやすい傾向です。

カパ|水
動きたくない。
気持ちが重い。
「明日から」が続く。

タマスの方向へ 傾きやすいと考えます。

これは、 「ヴァータだから必ずこうなる」 という診断ではありません。

自分が崩れるときに、 どちらへ傾きやすいかを知るための 一つの地図 として使います。

04

心を傾けるのは、
毎日の過ごし方

では、 何が心を ラジャスやタマスへ 傾けるのでしょうか。

アーユルヴェーダでは、 食事や生活も 心の状態と結びつけて考えます。

ラジャスに傾きやすいとき

刺激が多い。

カフェインを摂りすぎる。

急いで食べる。

夜更かしする。

予定を詰め込みすぎる。

情報を浴び続ける。

何かと戦い続けている。

タマスに傾きやすいとき

食べすぎる。

重い食事が続く。

身体をほとんど動かさない。

昼まで眠る。

起床・食事・就寝の時間が 大きく乱れる。

何もしない日が 何日も続く。

ここまで読むと、 気づくはずです。

ほとんど全部、 この教科書で すでに整えてきたことです。

食事。

睡眠。

運動。

情報との距離。

そして、 毎日のリズム。

ディナチャリヤ

アーユルヴェーダには、 ディナチャリヤという 日々の過ごし方の考え方があります。

だいたい同じ時間に起きる。

食事のリズムをつくる。

身体を動かす。

夜になったら休む。

特別なことより、 淡々と繰り返せる生活の「型」が、 心を戻す土台になります。

05

心は、
「掛け算」に近い

ここで、 とても大切なことを お伝えします。

「焦っているから妊娠できない」

ということではありません。

不安やストレスと 妊娠の成立については さまざまな研究がありますが、 単純な因果関係として 一律に説明できるものではありません。

だから、 不安になった自分を 責めないでください。

ただし、 心と身体が 無関係という意味でもありません。

心が張りつめると、生活にも影響する

夜になっても 頭が止まらず、 眠りにくくなる。

食欲がなくなったり、 反対に食べすぎたりする。

身体に力が入り、 呼吸が浅くなる。

動く気力が なくなることもあります。

つまり、 心が直接 「卵子を悪くする」 「子宮を悪くする」 という話ではありません。

心の状態は、 睡眠・食事・活動・身体の緊張などを通して 日々の身体と関わっています。

この教科書の ほかの5つが「足し算」なら、

心は 「掛け算」に近い。

全体に関わってくるからです。

でも、 ここも忘れないでください。

心が揺れても、ゼロにはならない。
あなたが積み上げたものは、消えません。

06

揺れないことより、
戻れること

常にサットヴァでいられる人は いません。

人の心は、 揺れます。

焦る日もあります。

イライラする日もあります。

何もしたくない日もあります。

大切なのは、 揺れないことではありません。

今の自分に 気づけることです。

まず、今の自分を見る

今、落ち着いている?

走りすぎている?

それとも、 沈んでいる?

「今の私はラジャスだな」
「今日はタマスに傾いているな」

そう気づくだけでも、 自分と心の状態を 少し離して見ることができます。

そして、 戻り方はもう あなたが知っています。

白湯を飲む。

食事を整える。

きちんと出す。

身体を動かす。

生活の型へ戻る。

眠る。

おっぱい体操をする。

優しい言葉を使う。

あなたは、ずっと心も整えてきた

この12週間、 「心を整えなさい」 と何度も言われたわけではありません。

でも、 身体を整えることを 一つずつ積み重ねてきました。

その一つひとつが、 心が戻る場所をつくることでも あったのです。

だから、 この教科書の最初にお伝えした

「焦らなくて、いいのです」

という言葉は、 「何もしなくていい」 という意味ではありません。

できる準備は、 淡々と続ける。

身体を整える。

巡らせる。

眠る。

Bijaを育てる。

二人の関係を大切にする。

でも、自分の心まで 追い詰めない。

焦らなくていい。
でも、できることは淡々と。

次の002では、 この教科書の最初から お伝えしてきた言葉に戻ります。

「妊娠は、ゴールではない」

ここまでつくってきた土台は、 妊娠したあと、 いったいどこへ つながっていくのでしょうか。

妊娠。

出産。

産後。

授乳。

その先まで、 見ていきましょう。

SUMMARY

この節のまとめ

  • アーユルヴェーダでは、心の状態をサットヴァ・ラジャス・タマスの3つで捉えます。
  • 大切なのは常に穏やかでいることではなく、今どこに傾いているかに気づき、戻れることです。
  • 心だけを直接整えようとせず、食事・睡眠・運動・生活のリズムなど、身体から整えていきます。
  • 「焦らなくていい」とは何もしないことではなく、できる準備を続けながら、自分を追い詰めないことです。